Last Up Date : 2004-03-28
Since : 2003-03-09

MARS for MS-DOS を WindowsCE 環境で動かす


Agenda.

0.導入
1.DOSエミュレータの導入と日本語化
2.MARS for MS-DOSの導入とカスタマイズ
3.動作に関する検証
4.Tips

<= 0.導入 2.MARS for MS-DOSの導入とカスタマイズ =>


1.DOSエミュレータの導入と日本語化

 MARS for MS-DOS は名前が示すとおりMicrosoft社のMS-DOS上で動作するように作られています。しかし実際には MS-DOS だけではなく MS-DOS 互換の環境があれば動作します。
 一番使われいると思われる MS-DOS 互換の環境というのは同じ Microsoft社から発売している OS である Windows でしょう。たいていの Windows には MS-DOS 互換の環境が準備されており、MS-DOSのソフトウェアを動作させることが可能です。現に私もデスクトップ環境では Windows2000 Professional をつかっており、cmd.exe 経由で MARS for MS-DOS を動かしています。
 さて、CE機に話をもどしましょう。CE機も名前からわかるようにWindows系OSです。しかし残念ながらWindowsCE機には MS-DOS 互換の動作環境が入っていないません。コマンドを受け付ける環境は入っているようですが、MS-DOSのソフトを動作させることはできません。つまりそのままでは MARS for MS-DOS を動かすことはできないわけです。

 動かすための環境が無いのなら、動かすための環境を準備することにより問題は解決するはずです。幸いにもWindowsCE機上で MS-DOS 環境を用意する方法は存在します。それは DOS エミュレータを準備するという方法です。
 残念ながらフリーではなくシェアウェアですが以下のサイトから WindowsCE機上で動く DOS エミュレータを入手することができます。


 以前は PocketDOS の他にも PC-XT という DOSエミュレータ が存在しましたが、現在は PocketDOS が吸収したようです。


参考までに私が準備した動作環境を以下に示します。

動作環境:
機器 HP Jornada728(StrongARM 206MHz)
OS Windows for Handheld PC 2000 (WindowsCE 3.0相当)
DOS Emulator PocketDOS 1.07.1
MARS ver. 4.42


 PocketDOS はシェアウェアであるため、レジストするまでは起動時や動作中たまに 30秒ほどまたされます。そのことを気にしなければ特に問題無く DOS 環境を手にすることができます。もちろんレジスト後には 30秒間待たされるということはなくなります。

 まず、 PocketDOS のサイトからエミュレータプログラムの本体をダウンロードします。なお、シェアウェアをレジストする気がある方も、先にインストールを済ませておく必要があります。

 早速、ダウンロードサイトにアクセスしましょう。



 アクセスすると、上記のような画面が現れます。ここで Download evaluatoin copy のリンクをクリックすると、機種別の評価版ダウンロード画面に移ります。



 評価版ダウンロードからは、機種にあったプログラムをダウンロードすることになりますが、 Jornada728 は Handheld PC 2000 ですから、上記画像のリンクが該当します。
 このリンクをクリックすると、プログラムのダウンロードが開始します。

 無事ダウンロードが終わったら母艦とCE機をActiveSyncで接続し、ダウンロードした PocketDOS_HPC_107.exe を母艦上から実行します。私が試した時には問題なくインストールが開始し、終了しました。

 PocketDOS がインストールされ DOS 環境ができたので早速 MARS for MS-DOS を試したいところですが、すぐに問題に直面することと思います。それは、そのままでば日本語を表示する環境がないため、ソフトが動きはするもののなにをやっているか理解することは非常に困難であることです。よって次の目標は PocketDOS 上で日本語を表示できるようにすることとなります。

 日本語化には DOS の知識が多少必要になりますが、こんなときには先人の知恵を拝借してしまいましょう。PocketDOSの日本語化については LucifeR(上木正暁)氏の設置されたサイト「Site of LucifeR the Alchemist」中の「もって歩けるコンピュータがすきなんだもん」が詳しく私も非常にお世話になりました。DOS化にあたって、「Jornada720 DOS遺産継承作戦」を参考にさせていただきました。

 MARS for MS-DOS では駅名や路線名の入力が必要になりますが、ローマ時変換を中心に利用するなら別途日本語入力環境を準備する必要は無く、日本語が単に表示される環境が準備できれば問題ありません。

 日本語化にあたっては以下のサイトより必要なファイルをそろえました。

フォントドライバ FontX
日本語表示ドライバ yadc
日本語フォント ”げんちょもフォント”

 残念ながら私は @Nifty の会員ではないため DspCC を手にいれることはできず、yadc を使うこととしました。

 さて、設定開始です。その前に、私はコンパクトフラッシュの入っているドライブをレジストリエディタをつかって「メモリカード」(実際には半角)から「Storage Card」に変更してしまいました。こうしておくと、PocketDOS は自動的にコンパクトフラッシュを c: ドライブとして認識してくれるからです。
 レジストリエディタは TascalSoft の「TascalRegEdit」を利用しました。

 「HKEY_LOCAL_MACHINE\Drivers\PCMCIA\ATADISK」の「Folder」を「Storage card」に変更することで実現します。レジストリをいじる行為は非常に危険ですので、必ずバックアップをとってから実行しましょう。書き換えが終わったら、リセットをかけます。

 次に、コンパクトフラッシュ上に"DOS"という名前のディレクトリを作成し、この下に必要なファイルを置くことにしました。このディレクトリは PocketDOS 上では c:\DOS に見えるはずです。

 c:\dos の下に sys ディレクトリをつくり、必要なシステムファイルを設置します。
 fontX から得られた「$fonte.sys」と yadc から得られた「yadc.ini」「yadc.exe」を転送します。

 次にフォントを置きます。c:\dos の下に font ディレクトリをつくり、”げんちょもフォント”から得られた「gen9808x.fnt」「genhn08x.fnt」「genzn08x.fnt」を転送します。

 これでとりあえず必要なファイルは準備できました。あとは設定ファイルの書き換えが必要です。
 ついでに
 も作成してしまいました。

 以下に私の環境での設定ファイルを示します。

s:\config.sys(\Program files\PocketDOS\config.sys)
devicehigh=c:\dos\sys\$fonte.sys /P=c:\dos\font\
devicehigh=c:\dos\sys\yadc.exe -v70

s:\autoexec.bat(\Program files\PocketDOS\autoexec.bat)
SETDRIVE NOBANNER
echo.

SETCOM NOBANNER
echo.

path c:\dos\sys\;%path%;c:\dos\bat;c:\dos\bin

set HOME=c:\dos\home

echo To exit PocketDOS, type: EXITDOS

cd %HOME%


c:\dos\font\$fontx.ini(\Storage card\DOS\font\$fontx.ini) このファイルは作成します。
[FONT]
genhn08x.fnt
genzn08x.fnt

 設定ファイルの準備ができましたが、あともう一つだけやることがあります。それはフォントを EMS に置く関係上、PocketDOS で EMS 領域を確保する必要があります。EMSの確保が行われていないと、画面上に文字が表示されません。

 これは、PocketDOS の設定から確保することができます。

 設定を開始するために、一度起動してみましょう。




 起動すると上記画面が表示されます。しかしいつまでたってもバーが進まない現象が発生することでしょう。この原因は謎なのですが、何かキーを押しっぱなしにすると問題なくバーが進み起動します。
 私は Altキー を押しっぱなしにしています。
 しばらく待つと、バーが一番右まで進みます。このあとレジストしていないと 30秒間待たされます。



 その後,上記の画面が表示されます。これは PocketDOS で使うことのできる特殊なキー入力の一覧です。この組み合わせを用いることにより、ファンクションキーの入力などを行うことができます。
 毎回この表示が出るのは煩わしいので、左下のチェックを外して Close ボタンをタップします。



 起動したてでは EMS メモリを確保していないため、画面上にフォントが表示されません.そこで EMS の確保を行います.
 左下の[Windows]マークをタップするか、 Winキー + スペースバー を押すとメニューが表示されます。この中から Settings => Memory を選択します。



 メモリ確保に関するダイアログが表示されます。EMSの確保は一番右の「Expanded」にあたりますので、対象のタブをタップします。画面が変化したら下部のスライドで確保する EMS の量を決定します。私は2048kb(2MB)確保しています.今のところ問題はないようですが、もっと確保してしまっても良いのでしょう。
 確保が終わったら [OK] をタップします。次回の起動から有効になるとのダイアログが表示されるので、「はい」を選びましょう。



 EMS の確保が終わったら、 PocketDOS を終了します。右下の [×] をタップすると、終了確認のダイアログが表示されます。 [OK] をタップすると、 PocketDOS が終了します。

 さあ、これで日本語を表示可能な DOS 環境の準備が完了しました。それではお待ちかねの MARS for MS-DOS のインストールを開始しましょう。


 本ドキュメント中の画像取り込みには 伊藤栄一郎氏作の CaptCE を利用しております.


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